滲む創作

教室

帰りの会の気怠い静寂は、しなやかに直立した腕と水面を打つような声で破られたのだった。 「先生、言わなくてはいけないことがあります」 「あらあら。どうしたの?」 女教師は小首をかしげ、挙手した生徒を見た。 彼の瞳がぎょろりと動く。引き摺られるよ…

ついっ探偵 ウィスパーボイスアンドキャット 第にゃにゃ話 人生やり直せるペッパーランチ

生ぬるい空気を少しでも押し流そうと開けた窓から、猫の鳴き声が聞こえた。 Mr.twitter どこかで猫が鳴いてる 猫の鳴き声は、まるで皺だらけの赤ん坊が泣いている声のようだ。いや、年老いているのは体で顔と精神が赤ん坊というべきか。 Mr.twitter 猫の鳴き…

ポエム「産むマシーン」 (作詞:近藤ムチロウ)

ウ〜 できちゃった結婚〜 ウ〜 産む?産む? ウ〜 できちゃった結婚〜 ウ〜 ウォ イェイェイェ イェイェイェ イェーイ (突然の転調) 吐き気がするほど、ダダイスティックだぜ! 妹よ 便りは届いた 妹よ 写真に写った おまえは 真白いドレスを着た おまえは なんだかおかしかった 嘘…

ミキサー室にて

「え?何この三文芝居? ズンタタ?懐かしのズンタタ? それかあれねー。第三舞台」「はいボス!ちょっとアレンジ加えてみました」「アレンジかー。アレンジしちゃったかー。そっち方向に。」「はいボス!」「君あれね。すっごい返事はいいのねー。……もうち…

夢に落ちる夜に夢見る夢は夜から覚めない夢

(あ、あ、アワードぉっ〜!?あわあわあわ。あ、あたしがアワードなんて…!!) (そんな……ヤダ……恥ずかしいな) (あたしなんて……nekoprotocolさんと比べたらもう全然たいした bloggerじゃないのにぃ〜) (でも、嬉しい) (nekoprotocolさんがあたしのこと褒めてくれ…

ナチュラルボーンサイクリングクラッシャー

走りたい。誰より速く。自転車と。 僕は、改造する。DUALDRIVE。ディファレンシャルユニット。ベベルギア/シャフト。フロントパワートレイン。理科室を借りてでヶ月の作業の後、僕の自転車は完成する。 葵橋を渡り、寺町を抜ける。御所の角を三条へ抜ける角…

小説 DEATH NOTE 第零部 「魔法少女☆はてなちゃん」

「きゃ〜!いや〜ん!どうしよぅ困ったよぅ」 「どうしたパンツ、はてなちゃん?」 「聞いてよマスコットのパンツ!…あたし、"書いたことが現実になる"『魔法のはてなアイディアノート』を落としちゃったの〜」 「ええ!今日もらったばかりの、魔法少女の証…

小説 DEATH NOTE 第四部「千の小説とバックベアード」

鴨鵜は――、大場つぐみとクレジットされている人物ではない。彼は鴨鵜がでっちあげたカリカチュアとしての作者だ。鴨鵜は創作者として認められたかったわけではない。ただ創作をしたかったのだ。 鴨鵜は、笑っている。笑いがとまらない。 静かな生活を信条と…

小説 DEATH NOTE 第三部 「それから」

デスノートの断片は未だばらまかれ、世界は疑心に包まれている。 そんな中、マンガ『DEATH NOTE』の連載は始まった。 この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件と関係はありません。 『DEATH NOTE』を題材にしたマンガは、実際にデスノートの脅…

小説DEATH NOTE 第二部「黒革の手帖」

http://neo.g.hatena.ne.jp/xx-internet/20060521/p1 続けて、このような文章が綴られている。 DEATH NOTEの切れ端を世界中にばらまいた人物。――『キラ』。 『キラ』が、全世界の人々に声明を発した理由。巧妙に姿を隠していたこれまでから一転し、新世界の…

誰が為に牛は鳴らす

吾輩は牛である。名前はまだない。 けれど識別記号なら認識しているのである。直訳すれば、なのである。気さくにと呼んで頂きたい。鼻笛でよければ元気よく、返事をするのである。 吾輩のメモリーのうち、アクセス可能なもっとも古い記憶は、暗くじめじめし…

非モテ理賞非提出作品「人妻blogger 泥田坊さん」

「記号に喰わせる意味はねえ」 「アフィリエイトがなければ路上で詩を売ればいいじゃない」 泥田坊ネギ子 オカルト暴欲カリスマ節約主婦bloggerとしておなじみであるところの泥田坊ネギ子さん。 今日も今日とて、ペットボトルを再利用してentryできないか考…

像を結ぶ瞳

「FLASH EXCITING 10月30日増刊号」で長崎莉奈さんがU-19アイドルでイチバンに。ふーん。 俺以外の意見は興味ありません。この中に、俺、時間軸ずれた俺、並行世界の俺がいたら俺のところにきなさい。 ともあれ、DVDで長崎さん特集なので俺も満足です。 そん…

萌理賞非参加作品「膝の上で抱きかかえながらじゃ、上手に字は書けません」

姉はからかい好きで、かつ世話好きな人だった。 「あんた字下手ねぇ。お姉ちゃんが代わりに書いたげよっか。嘘よ、嘘。下手でも丁寧に、自分の手で書かなくちゃ。あ、そこ曲がってる。もぉほら、お姉ちゃんがおっぱいで押さえててあげる。嘘よ、嘘」 妹は物…

三寸切り込めば人は死ぬ

舟木兄弟の兄、兵馬は眼前の敵との距離を計っている。 ひとたび彼の剣の届く間合いに入れば、兵馬の豪剣は何者も止められぬ。 じりじりと距離を詰めた。 "――一寸。一寸一寸。" 彼の敵が剣を振るった。 その時、弟の数馬に異変が生じた。 飛び込んでくる敵は…

怪談「顔」

心の中で声をだしてお読みいただきたい。 「……で、助かったーと思ったときに、女の声で『死ねばよかったのに』」 「きゃ〜!!」 「怖え〜」 「まだ心臓バクバクいってる」 「こ、怖いよ。怖すぎるよ」 「すげぇ怖かったなぁ。顔が」 「ああ。顔」 「顔怖す…

続々個人的萌えリベンジ「ビデオレター」

「……ああっ!!あ、ああのはははじめましてっ。あのいつもblogではアレなんですけどこういう形でははじめまして。ななんか緊張しますねぇえへへ。きょっ今日はぁそのぉお礼をいい言いたくてこんなの撮ってみました。いつもblogを見てくれてっ、そのありがとう…

続個人的萌えリベンジ「くりかえす夏、変わらない夏」

一回目の夏。目と目があった瞬間、恋に落ちたお母さんは、お父さんの目をえぐりとろうとした。 二回目の夏。心臓を狙ってお母さんがつけた傷が「I LOVE YOU」の形になった頃、2人は付き合い始めた。 三回目の夏。遠くの医大に行くから6年待っていて。と告げ…

個人的萌えリベンジ「すれちがい」

本文のみで200文字。全然すれちがってなかったので、一度全面書き直し。 「せんせぇこんにちは〜」」 「こんにちは。日差しが強いわ。もう夏ね」 「あついなー。およいじゃお〜」 (ざばーん) 「せせせんせぇ!ままだ水がつめたいですぅ!!」 「あら」 「…

萌理賞2題。

燃えてるみたいな太陽。夏休み。ひまわり。バイト。プール。海。愛。恋。内緒。読書。読書感想文。「逃げ水」。波及した感想文の丸写し。あたしの夏休みが終わらなければいいな永遠に。でも、夏休みはもう終わり。 『萌えtellme?』 「タイなー」 「タイよー…