小説 DEATH NOTE 第三部 「それから」

デスノートの断片は未だばらまかれ、世界は疑心に包まれている。
そんな中、マンガ『DEATH NOTE』の連載は始まった。

この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件と関係はありません。

DEATH NOTE』を題材にしたマンガは、実際にデスノートの脅威に震える世界で大きな話題となった。
なにしろ、デスノート所持者であるキラの栄光と没落が滑稽に描かれているのだ。こんなことを描いたらキラに殺される。
いやしかし、実はこれは本当のキラの話なのではないか?
むしろキラ本人が書いているのでは?


様々な憶測が飛び交い、いまやデスノートによって瓦解しかけていた政府・警察、あるいは報道機関、不謹慎だと訴えるデスノート被害者の遺族およびデスノート教信者(このときだけは、両者が強調した行動を見せた)、そして興味本位の人々が、デスノートを手に作者を探した。
作画担当の漫画家の素性はすぐに割れ、デスノートの断片によって殺された。しかし別の漫画家の手でデスノートは続いた。マンガ『DEATH NOTE』の絵の質は常に高く、それほどのマンガを描く漫画家は既にどこかでマンガを発表したことがあるもので、細かい癖やタッチはいくら隠しても隠し通すことはできずに、計16度、『DEATH NOTE』の作画担当は殺された。それでもマンガ家達は、つかれたように『DEATH NOTE』の作画を勤めた。ジャンプ連載陣はほぼ全滅したが、出版社の垣根を越えて、人気漫画家たちは『DEATH NOTE』を描いた。
そして、原作者は見つからなかった。


警察による、拷問やデスノートを用いた恫喝、デスノートによると思われる死を潜り抜け、生き延びた編集者はこう声明を発した。
「『DEATH NOTE』の原作は、ありとあらゆる手段で編集部に届けられた。まるで本物のデスノートと同じように」


編集部の拘束や印刷所・取次拠点の制圧も、政府や警察が機能を失いかけていたために、また一般民はデスノートへの恐れからか組織化された行動に至らなかったために、幾度かの失敗の後、沈静化した。
むしろ『DEATH NOTE』が連載されなかった週に、暴徒が発生し、匿名政府には諸外国の問い合わせがあいついだ。


世界はいま、『DEATH NOTE』を毎週楽しみにしていた。