「子供達怒る怒る怒る」

の英題「Children Shout Shit!Shit!Shit!」はかっちょいい。
その辺やら、想定やら、内容自体や並べ方も、文学をしようとしている。
素直なのか、挑発してんのか。
どっちにしても、かまわない。すっげ気に入った。よかった。サインしてもらって、ほんとよかった。


コンセプトアルバムみたいな短編集だな、と思った。
一つの題材を違う切り口で形にしてる様に見えつつ、実は題材よりも切り口に意義がある、ってな。そんでも頭でっかちにならずに、一作一作はポップだったりメロウだったりして、切り口の断面が、一つ美しー。で、全部通して読むと、いびつな題材がごろんと残されていて、「いびつじゃん」って思いながらも、よくよく見ると全部美しー。
これじゃなんだかよく分からんね。


イメージ、そんでイメージの描写が随所にある。シンプルかつ繰り返しが多く、うっとうしいかというと、シンプル故に効果的なありきたりではないフック・発想のジャンプから、さらなるイメージへの着地、という「文学」の基礎部分がしっかりしていて、そのグルーブに身が踊る。


これは、スタンダードナンバーでしょう。「文学」好きの方は、若い作家が真正面から「文学」に挑んできた!と驚きながら喜ぶだろうし、「ファウスト」スキーにおいては、この下地を、次にどう壊してくれるか、とドキドキしてるんでしょう。
けども、じゃあ次の一手はこうだ!と戦略立てて売りに出ずに、さまざまなスタンスの本好き達を引きつけながら、まだまだフラフラとして欲しいと俺は思う。


つまり、ファウスト佐藤友哉特集なんてされんなよ!ってこと。でも、佐藤さんはそっちに行きたいのかもしんない。
まー、ちょっと鏡家サーガもじっくり読もうと思います。
じっくり読まなきゃもったいない。