猿股を買いに

寒いすねぇ。寒いすなぁ。今日は田無タワーを目指して自転車をこぐ。途中「アレ?ここカラスヤサトシのマンガに出てきたトコじゃない?」と思いて、家に引き返して確認。再び田無タワーに向かって、風景とマンガのデジャブ感を堪能した。堪能したところでアレだ。寒い。このままでは遭難する。それはなぜかとたずねたら、答えはいつも下半身。いつだってそう、下半身のせいさ!愛していると誤解したのも。夢と友を裏切ったのも。ラーラーラーかはんしーん♪かはんしーん♪かはんしんをーひっぱれー♪ミュージカルの途中ですが、マクドナルドへ。膝が冷たくて自転車がこげないよ。


ぶ厚めのズボンを履いて出掛けたとはいえ、上半身の重ね着と比べると下半身の貧弱さはどうだ。てことで、猿股を買おう。この戦争が終わったらオレ、猿股買うんだ。それじゃダメだ!猿股が先、戦争が後だ。そいえば、ジャポン人の皆様は戦争前に別れの種づけしてってくれたから、今のボク達があるんだよね。故事にならって、別れる前に一発ヤラして、と頼む心を忘れずにいきたいものです。などと下半身を暖めつつ、岐路の途中のデパートまで。猿股はドコですか?くださいくださいテイクアウトで。すぐに着ていくんで包装はいりません。ああついでにボクの下半身の包装もどうにかしてもらえますか。ウィットに富んだ受け答えもばっちりシミュレーション。さああとは猿股を買うだけなのに、アレ?ないな。猿股売ってない。肌着売り場なのに。もしや精肉売り場なのか?猿股だけに。そ、そんな猿股、ボク履けないよ!リアルに!なんだリアルて。よく考えろリアリティないだろ。いったいリアルとリアリティとはなんなのか?どうでもいい。猿股だよ猿股。そこらの店員に聞けば早いのだろうが、なにぶん猿股が見つからない状況のシミュレーションはしていない。当然話しかけるどころか、目もあわせられない。すいませんごめんなさい猿股探してごめんなさい。極力目立たぬよう隅っこで小さくなる俺。小さくなる下半身。お前もか。かわいいコイツのためにも、猿股を手にいれねば。ご先祖様ーッ!どうすればよいですかーッ!?
「(タバコの箱のフィルムを引っ張って口にあてながら)はいこちら警視庁特捜部。どうしました?なにぃ!?了解。現場へ急行します」
振り返ると誰もいないグンゼコーナー。柳沢慎吾(もしくは慎吾のものまね)に導かれるように、そこにはグンゼ素材の猿股。おおコレコレ、と手に取るとお値段3000円。高い。なんで猿股がそんな。と値段をみると、猿股、ではなくタイツの文字。タ・イ・ツだぁー?そんな気取ったもんはいらねぇ。オレは猿股が欲しいの。タイツてお前、貴族か。貴族きどりか。お前が猿股をタイツと呼ぶなら、俺は無精ヒゲをイタリアと呼んでやる。ちくしょう…!イタリアめ…!と呪いをこめて歩けば、書店コーナーにイタリアの文字。「本上まなみ、オールイタリアロケ写真集」。イタリアの野郎!購入して帰宅。下半身は充分暖かだった。


親に確認したところ、オレと柳沢慎吾には何の血縁関係もない。とのこと。よかった。柳沢慎吾はいないんだ。(係累に)