豚と犬以外全部、無断横たわるの禁止。

ケルベロス第五の首 (未来の文学)

ケルベロス第五の首 (未来の文学)


おいしゅうございました。遺書には「ケルベロスおいしゅうございました」と書き残したいです。そして変死。捜査開始から2分で、名探偵は「頭がアレな人のやったことだから…」と解決。一方その影では、謎の組織「国書刊行会」が……。


なんについて語っているのかわからないほどに粛々とした描写から始まり、それでも読むのを止められない語り口。
それだけでも大好物ですが、更に舌の上でシャッキリ、ポンッと踊ったのは「確実に嘘をついていて、その嘘の前提となる条件は推測できるが、真実は存在しない」ところです。あまりにも誠実な努力の元でのいいっぱなし。ほんと何があんたにそうさせるんだ。ある類の作家はなぜ上手に嘘をつきたがるんでしょう?ふと、安ウイスキーで酔っ払ってニヤける、白髭・赤ら顔の老人の顔が浮かびました。「どうでえ?おもしれえだろ?」そう言われる、何も言えません。ゾクゾクするほど話が聞きたくてしかたないからです。同じ話を断片的に、ディテールを変えて繰り替えされると、もうたまりません。これが文科系女子なら、「黙れ。[あとで読む]からエントリーで書け」と言いたくなるのですけど。
ちなみに言っておくと、おじいちゃん萌えの表明をしているのではありません。おじいちゃんと文科系女子には望むものが違う、というだけですので、文科系女子の読者におかれましては安心してメンヘル系ネットアイドルの道をすすんでいただきたい。更にしがらみにかられて本音と建前を別の場所で書き分けてもらえるとなおいいですね。人間関係に何をきたそうと、ログを消さないでいてくれると最高です。


もちろん上記は単なる萌え表明であり、皆様の権利をなんら侵害するものではありません。
「Top人格以外に、無断萌え禁止」という指摘があれば、即座に対応します。web上では。人の心は自由で、飼いならせないものですから。[これはひどい]タグをつけながら、ほんとはどーでもいーと思うのも自由。「ダブルスタンダードって言うやつがダブルスタンダードなんだぞ!!」と思いながら、リンクを張らずにmurmurするのも自由。自由自由。フリーダムです。自由に格差はありません。そこがちょっと不自由ですが、不自由できるのも自由です。


文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)

文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)


盲をつかれました。儒教か。新世界の神になるには、名前を出さずに人の意識を変革する。ライト君はもう少し哲学を学ぶべきでした。哲学あなどりがたし。「ペンは剣よりも強し」と言った春秋時代の思想家は、孟宗筆で呂布を退けたと、ある三国志の写本にあります。思想が殺人や戦争のコストを重くする。「なぜ人を殺してはいけないのですか?」「そんなことを説明するのが面倒だからです。ママンモーニでないのなら、殺すと思った瞬間と殺している間は、あなたの覚悟で埋めてください」


邪魅の雫」の前に読み忘れていたから買ったのですが、早く邪魅を読みたくなりました。いや、その前に塗仏を再読か。今回、関口君ががんばりすぎです。関口君には全容も分からないでやったことがどんどん裏目に出て欲しい。その点塗仏は最高でした。死体性病は「信頼できない上にろくでもない語り手」を応援しています。