平凡と苛立ち

うちにテレビの人が来て、なんかわちゃわちゃして帰った。
大変だな、と思った。


ま、それはいいとして。


価値観。価値観というものが。
クソむかつく。
なんだそれ。
何を当然だと思っていやがるんだ。


猫は。
かわいい。
かわいいのは。
やめてくれ。


自転車のかごから降りられなくなっているのを。助けただけだ。
そんなだけで。
油断してんな。
夜に。しゃがんで。タバコを吸う。
すると気がつけば。背中に体をこすりつけて。逃げようともしないんだお前。


猫の溜まり場で。
生まれたてのお前は、強くもずるくもない。
だから、えさにありつけない。
隠れて。
他の猫どもが。いなくなるのを待っている。


俺は与えてしまった。
お前にえさを与えてしまった。
まったくもって。
くそったれだ。
自由も。
未来も。
あったのに、奪ってしまった。
対価として?


そんなのいらなかったのに。


愛されたかった。
そんなのを含んだままのお前に。
バカか。バカだ。
そんなんねーよ。
俺は、間違えたんだ。


そして猫どもの溜まり場は。
ごみ袋を。
食い漁る猫がいる。
つって、住民は対策を施した。
猫は溜まれなくなった。


生きていく。
その価値観で。
俺も。
猫どもも。
住民も。
あの、猫も。


ふざけてるぜ。


溜まり場だった場所で。
煙草吸いながら。
俺は。苛立って。苛立って。苛立って。
その苛立ちに、苛立って。
猫かわいいなぁ。
と思うのにもまた苛立って。
ほなどないせえいうね、つって。
煙草を消す。