The great mistake of my discovery partⅢ.

家のパソコンの調子が悪いのと、出かける用事が多いのとで、このところさまざまなマンキツをうろついては、そこでこのような文章を書いている。


昨今のマンキツでは、寝椅子の席で横たわって眠れたり、シャワーがあったり、同じビルのファーストフード店と提携して食事を提供したりしているのだ。


ああ。けれど。ラワンの板一枚に仕切られた個室。冷房から吹く風。押し込められた人々のくつろいだ気配。
それらに囲まれて、深遠で卑近で切迫したこと。たとえば宇宙のことなど思うことは出来ぬよ。
銀河はおっきいなぁとか。
俺はちっちゃいなぁとか。


ばっかじゃあるまいし。そんなことは思わねえよっ。
人間は、己と同じ大きさのものしか思うことができない。
でかいと思うなら、それを思う心がでかいのだろうし、ちっちゃいと思うなら、それしか思えぬ思いがちっちゃいのだ。


ところで、表面積ってすごいよね。
人が腸はテニスコートだし、体中にいる菌類を足し合わせたら10万kmになるらしいよ。


宇宙のことを思うとき、宇宙のどこかは俺の形に切り取られている。
そう想像すれば。
アホみたいな夢のことを思うとき、アホみたいな俺の形をした夢。
無力のことを思うとき、それは俺の形をした力。
あの子のことを思うとき、あの子は俺の形をした女の子。


たくさんの、俺の形。俺の形の型。
それはちょっと、嫌な気分だ。