キッチン・コンフィデンシャル読み終わり。

料理ゴシップ本かな、と思ってあんまり期待しないで読んだんだけども、すげかった。ツボ。思いっきし、ツボ。
例えばこんな一文。

生活のさまざまなサウンドと同じように、その音の中に浸っているのが心地よい。
皿洗いの立てる水しぶきの音や食器のふれあうかちゃかちゃという音。熱い鍋に切り身の魚を入れた時のジリジリいう音。
(中略)
冒涜的なクルーのからかい、悪口、恨み、侮蔑の言葉は、私の耳には詩のように響き、ときに美しいとさえ感じる。古典的なテーマにたえず小さなバリエーションを加える手法はまるでビート時代のジャズのリフを思わせる。
コルトレーンは「マイ・フェイバリット・シングス」を何度演奏したかわからないが、そのたびに新しいなにかをつけ加えた。
同じように「サック・マイ・ディック」には百万通りもの言い方があるのだ。私のキッチンで働いた連中の大半は、この言葉をスペイン語、フランス語、イタリア語、アラビア語ベンガル語、英語でいうことができる。
あらゆる傑作パフォーマンスがそうであるように、これもタイミングと調子と伝え方がすべてだ――その点、料理に似ていなくもない。

私は厨房で飛び交う口汚い言葉が大好きだ、というために尽くされるこれだけの言葉。


こんなにクソ長い文章を何度も読み返し、声に出してみたり、その様を想像し、著者写真を見て彼が語る様を想像し、それを真似てみたりする。それはなんでだろう?
しらねえよ。
ただ好きなんだっつうの。
って、この部分も引用、っつーか真似でした。