WARって単語が短く言い易いってのはすっげえ嫌らしいことなんじゃないか

戦争のことは知っているけど、戦争は知らない。戦争とはどういうことか?男は考えてみることにした。



戦場で聞く音楽は、不安をかきたてる音。連想を呼ぶ言葉。耳にまとわりつき、離れない旋律。安息はないだろう。他ならぬ自分が許さないのだから。ぎりぎりまで見て見て覚めて見ているために。

人が死に、人を殺す。男も死ぬかもわからない。そのプロセスは、訓練され統制を受けた行為者に行われる。しかし、殺される側には誰もがなりうる。意思も、意思の喪失も問題とせずに。


戦場の致死性、死をもたらす性質を量で測れるとしたら、どばどばだろう。溢れかえり、しかし地は広く、TVの向こう側のように遠いので、満ちることはないだろう。


というイメージが男をよぎる。


そも、生きることは戦争だなどと広く申されるものですが、しかしその伝でいえば夫婦は軍隊なのです。
なんてぇ不吉な披露宴での祝辞はないが、そんなこと言われたら困る、と思ったのだ。だから、男は戦争について考えてみることにしたのだ。


思うままにならず、蹂躙され、憎まれ、報復し、冒涜し、努力は人のためならず、何も実らず、信じては裏切られ、愛し、愛を信じず、生き残り、屍ばかりが積み重なる。



それは本当に、戦争ですか?